農業用ドローンに免許は必要?農薬散布までの流れを紹介

農業用ドローン
目次

農業用ドローンは農家にとって、農薬散布や肥料散布、播種、露払いなど様々な用途で活躍してくれる上、作業の効率化や作業時間の短縮・省人化を実現するメリットがあります。

「免許がないとドローンを飛ばせない」と勘違いしている方もいらっしゃいますが、農業用ドローンを扱う場合、厳密には国が定めた運転免許のような“免許”は必要ありません。

運行ルールに従えば個人でドローンを飛ばすことは許可されているので、ここでは農業用ドローンに関する資格と注意すべき点や農薬散布までの流れを紹介します。

農業用ドローンに国家資格が必要なの?

ドローンを飛行させるには、国家資格と民間資格があります。

改正航空法が2022年12月5日から施行され、国家資格である「無人航空機操縦者技能証明制度(操縦ライセンス制度)」が開始されました。第三者上空での補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)を実現するために創設された制度のひとつで、国が認めた国家資格です。

出典:無人航空機ポータルサイト https://www.mlit.go.jp/koku/level4/

農業用ドローンはレベル2飛行に該当し、飛行するにあたり無人航空機操縦者技能証明書の取得は必要ありません。とはいえ、飛行申請を提出し、上空を飛行するという無人航空機の特性から衝突などの事故が発生しないように、法令を守って安全に飛行をさせるための知識を身に着ける必要があります。

また、農業用ドローンでの農薬散布は農薬取締法にも該当するため農薬ラベルに記載されている使用方法を守る必要があるので、法令やルールを総合的に学ぶライセンス講習が各農業用ドローンメーカーから用意されています(民間資格)。

結論、農業用ドローンは民間資格を取得していれば、飛行申請を提出し許可・承認を経て飛行させることが可能です。国土交通省小型無人機(ドローン)の飛行レベルの図


抜粋:国土交通省 小型無人機(ドローン)の飛行レベル https://www.mlit.go.jp/common/001351989.pdf

ライセンス講習がメーカーごとに用意されている背景

民間資格となるライセンス講習は、メーカーごとに用意されており、A社のライセンス講習を受けているからといって、B社の農業用ドローンのライセンス講習を受けずに飛行させることは避けましょう。

農業用ドローンは機体によって性能や積載量、飛行や散布制御方法が手動/半自動/自動と各メーカーによって仕様が異なります。そのためそれぞれに合わせて関連法令や航空法、電波法、農薬取締法などを体系的に学び、実機で飛行トレーニングを積み重ねることで十分な知識を吸収できます。

ルールを遵守し第三者に迷惑をかけることなく安全に飛行するためにもメーカーのライセンス講習を受けていきましょう。

ライセンス講習の費用とかかる日程について

ここからは農業用ドローンメーカーから用意されているライセンス講習について解説します。

目安の費用とかかる日数について

資格取得までにかかる日数は、ドローン経験者と未経験者で異なりますが、2~5日程度となります。費用に関しても開催場所や取得コースによって変りますが、おおよそ10万〜30万円程度をみておくといいでしょう。

ナイルワークスの農業用ドローンは自動飛行が特徴なのでライセンス講習は比較的長時間拘束されることもなく、ドローン経験者の場合2日、未経験者の場合3日となり一人当たり12万円〜15万円が目安です(※)。
※2024年9月現在 / 費用は予告なく変更になることがあります。

プログラムは下記の通りとなり自動操縦システムについて深く理解するプログラムとオンライン上で管理する圃場データの測量プログラムが組まれており、法令・ルールや飛行方法を体系的に学んでいきます。

座学プログラム
関連法令 航空法、電波法、農薬取締法
飛行ルール(飛行の禁止空域及び飛行の方法)
安全に関する基準
ドローンの安全対策についての知識と対処の習得
自動操縦システムの構造及び日常点検項目
気象に関する知識
安全を確保するために必要な体制
機材の特徴説明
離着陸地点の条件・安全機能
測量方法の説明・障害物について
トラブルシューティング
圃場での測量・飛行プログラム
実圃場で測量訓練
測量アプリのインストール・使い方
圃場/障害物測量の注意点を説明
実運用を想定しながらの測量訓練
機体の取り扱い方法
飛行前点検の実施
飛行前の確認事項
飛行アプリの説明
マニュアルに沿った飛行の実施
問題があった場合の対処法
機体の清掃方法、梱包方法
機体用バッテリーの充電方法・取り扱い方法
飛行練習の実施
可変散布の経路作成・飛行の実施
実散布をイメージしながらの飛行練習の実施
機体を安全に操作できるかのテストを実施

抜粋:ナイルワークス ライセンス講習 未経験者プログラム
※2024年9月現在 / プログラムは予告なく変更になることがあります。

補助金を賢く活用

ドローンのライセンスを取得するにも一定の費用がかかります。利便性を考慮し、複数人でライセンスを取得する傾向がありますので、ドローンライセンス費用だけでもばかにならない出費になることもあります。

自治体によっては農業用ドローンを活用した業務効率化や新規事業の創出を図る事業者に対して、ライセンス取得にかかる経費の一部を補助するプログラムがあります。ライセンス講習を受ける際には、自治体に問い合わせし講習費用補助金がある場合は賢く活用しましょう。

ライセンスに有効期限はあるの?

運転免許に有効期限があるように、農業用ドローンのライセンスにも有効期限があります。一般的には取得から2年間となっており、例えば2024年2月に免許を取得された方は、2026年1月までにライセンスを更新する必要があります。

農業用ドローンに関する正しい知識と操縦方法、飛行を取得したことを証明するライセンスカードにも認定日が記載されていますので、ライセンス更新の際には参考にしてください。

農薬散布を実施する際に必要になる機体登録や許可申請について

無人航空機(農業用ドローンを含む)を飛行させる場合には、あらかじめ地方航空局長の承認を受ける必要があります。特に農業用ドローンの場合、農薬散布は危険物の輸送や物件の投下などにあたるため、飛行の安全を確保するために飛行許可申請を提出します。違反した場合には、50万円以下の罰金が科せられますので注意が必要です。航空法:承認が必要となる飛行の方法の図抜粋:国土交通省 航空法:承認が必要となる飛行の方法https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000041.html#houhou

農薬散布前に必要な手続きは3つ

ライセンス講習から農薬散布までの大まかな流れ上記がライセンス講習から農薬散布までの大まかな流れになりますが、農薬散布前にやるべきことを具体的に紹介します。

農業用ドローンを使って農薬散布するには、下記3つの手順が必要です。原則、オンラインサービス「ドローン情報基盤システム(飛行許可承認機能)<通称:DIPS>」で手続きをします。

1機体登録
2国土交通省への飛行許可・承認
個別申請の場合は飛行の都度、1年間の包括申請を行う場合は年に一度申請が必要
3飛行計画登録

この3つの手順について、以下、具体的な注意事項です。

1. 機体登録
登録されていない100g以上のドローンは飛行させることができません。2022年6月より無人航空機の登録は義務化されていますので注意してください。

参考:無人航空機登録ポータルサイト https://www.mlit.go.jp/koku/drone/

2. 国土交通省への飛行許可・承認
・無人航空機を飛行させる場合には、「小型無人機等の飛行禁止法」や都道府県・市区町村等の地方公共団体が定める条例等により飛行が禁止されている場所・地域があります。飛行許可・承認申請とは別に、飛行を希望する地域で無人航空機の飛行が可能か必ず確認のうえ、管理者等に対し必要な手続きを済ませる必要があります。

・審査には一定の期間を要するため、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日以上前(土日・祝日を除く)には申請書類を提出してください。申請内容に不備があった場合には追加確認に時間を要し、飛行予定日までに許可・承認が得られないことも想定されるため、飛行開始予定日から3~4週間程度、十分な余裕をもった申請が望ましいです。

3. 飛行計画登録
無人航空機の飛行形態については、リスクに応じた下記3つのカテゴリー(リスクの高いものからカテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ)に分類され、該当するカテゴリーに応じて手続きの要否が異なります。農業用ドローンはカテゴリーⅡに該当します。カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰについて抜粋:国土交通省 カテゴリー概要 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html

飛行手続きの図抜粋:国土交通省 飛行手続き https://www.mlit.go.jp/common/001579420.pdf

実際に飛行するまでに飛行計画の登録が必要です。ドローンなどの無人航空機同士と旅客機などの航空機との間で安全な飛行を維持するために、国土交通省航空局に事前に「いつ、どこで、なにを飛ばします」という情報を共有するためのシステムで、農薬散布を行うたびにその都度登録が必要となります。

参考:国土交通省 飛行計画の通報・飛行日誌の作成 https://www.mlit.go.jp/koku/operation.html

無人航空機を飛行させる際には、「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、飛行記録/日常点検記録/点検整備記録を作成し管理する必要があります。ナイルワークスの農業用ドローンNile-JZシリーズでは、LTE回線を介して、リアルタイムで飛行ログを収集できるので、必要に応じて国土交通省のフォーマットに沿ってダウンロードし印刷することができます。


ドローンで散布可能な農薬の確認を

ドローンで農薬散布を行う場合、農薬取締法に定められた農薬に限り使用することができるので、詳細は農林水産省のホームページを確認し、「農薬登録情報提供システム」で使用可能な農薬を調べてください。また、農林水産省より「無人航空機による農薬の空中散布における安全対策について」ガイドラインがでていますので、こちらも併せて参照してください。

参考:平成31年3月以降に新規登録されたドローンに適した農薬の数https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/210301_mokuhyouchikaranohenka.pdf

なお、近年の酷暑で注目されているバイオスティミュラント資材を空中散布しながら、作物の増収や品質向上を目指す農家さんが増えてきています。

ナイルワークスの農業用ドローン講習会はこちらから

農業用ドローンを活用することで農薬や肥料の散布作業時間を短縮でき、圃場へ均一に散布できるなど、省人・省力化や効率化につながります。農業用ドローンを使用する際には周辺の安心安全を守るために各メーカーのライセンス講習を受講することで正しい知識と技術を習得して、安全にドローンを飛ばしましょう。

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