農業用ドローンによる農薬散布|メリット・デメリット、導入の流れを解説

農業用ドローン
目次

重労働であり健康へのリスクもある農薬散布に対して、ドローンの活用が注目されています。農業用ドローンの導入を検討していらっしゃる方も多いのではないでしょうか。そこで、農業用ドローンが普及している背景、メリット・デメリット、導入事例をご紹介します。

農業用ドローンとは

農業用ドローンは、農業分野で活用される無人航空機のことを指します。ドローンの導入により、農作業の効率化や精密農業の実現が可能です。

国内の農業従事者の減少や高齢化、国際情勢の影響などにより、農作業の負担軽減や効率化、需要に応じた作物生産・価値向上が求められています。そのような背景の中で、農業用ドローンの特徴と活用方法について、以下の3つのポイントから解説します。

  • 農業をとりまく環境・課題
  • 農業用ドローンの普及率
  • 農業用ドローンで使える農薬

それぞれについて、以下に解説します。

農業をとりまく環境・課題

農業をとりまく環境は、目まぐるしく変化しています。国内では、農業従事者の減少や高齢化による慢性的な労働力不足、若年層の都市部への流出による担い手不足が進んでいます。生産資材価格の高騰や円安影響による生産資材価格の高止まり、穀物価格の上昇、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加に伴う食料危機の可能性、世界の食料分配の不均衡など、国際的な状況も激化しています。

そのため、食料安定供給や食料安全保障の確保、持続的な農業の発展、環境と調和のとれた食料システムの確立、農村地域社会の活性化などが課題です。

これらの課題を解決するため、ロボット技術やICTを活用した超省力・高品質生産を実現する新たな農業として、スマート農業への注目が高まっています。

農業用ドローンの普及率

スマート農業のひとつとして、農業用ドローンがあります。2019年3月に農林水産省が「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」を設立し、農業分野におけるドローン普及拡大への取り組みが強化されています。

ドローンによる農薬等の散布実績も増加傾向です。農業用ドローンは、重労働である農薬散布の作業負担を軽減し、労働力不足の解消や生産性向上をはかれるとして、期待が寄せられています。ドローンによる農薬散布などの散布実績のグラフ

出典:農林水産省
農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/drone.html
令和4年度農業分野における ドローンの活用状況(令和4年10月時点)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/attach/pdf/drone-26.pdf

農業用ドローンで使える農薬

農林水産省では農業用ドローンの普及拡大に向け、2019年3月に「農業用ドローンの普及計画」を設定し、2022年度末までの4年間でドローンに適した農薬の登録を新たに200剤増加させることを目標とし、使用可能な農薬登録の拡大を推進してきました。

その結果、ドローンで散布できる登録農薬の数は、総計で2019年では646だったのに対し、2023年には1212まで増加し、日に日に増えています。

ローンで農薬散布を行う場合、農薬取締法に定められた農薬に限り使用することができるので、詳細は農林水産省のホームページを確認し、「農薬登録情報提供システム」で使用可能な農薬を調べてください。ドローンに適した農薬の数のグラフ

出典:農林水産省
「農業用ドローンの普及計画」におけるドローンで使用可能な農薬の適用拡大に関する取組
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html
平成31年3月以降に新規登録されたドローンに適した農薬の数https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/210301_mokuhyouchikaranohenka.pdf

農業用ドローンのメリット

これまで、人力での手作業や無人ヘリコプターなどを利用していた農薬散布。しかしこれらの方法に対し、ドローンでの農薬散布には以下のメリットがあります。     

  • 作業負担の軽減
  • 作業時間の短縮
  • 農薬接触の低減

これら3つの基準で「動力噴霧器(動噴)」「無人ヘリコプター」「ドローン」を比較し、一覧表にまとめました。


動力噴霧器(動噴)無人ヘリコプタードローン
作業負担×
体力的な負担が高い
×
精神的な負担が高い

作業負担が低い
作業時間×
長時間

短時間

短時間
農薬接触×
農薬接触率が高い
×
農薬接触率が高い

農薬接触率が低い

以下詳細を解説します。

作業負担の軽減

従来の動力噴霧器(動噴)は、重いタンクを担ぎ、作物を踏まないように農地を歩き回りながら農薬散布をするため、作業者に大きな負担がかかりました。無人ヘリコプターは、オペレーターが操縦に神経を使い、高度な操縦技術が求められます。

それら従来の散布方法に対し、ドローンであれば上空から農薬散布でき、さらに自動飛行ドローンであれば特別なスキルは不要なので、体力面でも精神面でも大幅に負担を軽減できます。

作業時間の短縮

動力噴霧器(動噴)で1haあたり約2時間ほどかけていた農薬散布を自動飛行ドローンで散布することで約10分ほどで散布できたという事例もあります。無人ヘリコプターは動力噴霧器(動噴)と比較すると効率は上がりますが、サイズが大きく小回りが効かないので、狭い農地や中山間地での散布が難しい場合があります。

ドローンであれば、作業時間の短縮を実現し、狭い農地や中山間地での散布もできます。

農薬接触の低減

病害虫・雑草による収穫の減少を防ぎ、農作物を安定的に供給するために農薬を利用します。

これまでの農薬散布の方法では、農薬の使用上の注意に従い、防護服を着るなどしても、農薬に触れたり吸い込む可能性も高く、人体への影響の不安もありました。一方で、ドローンによる農薬散布は、農薬との接触を低減できるので、健康被害への不安も緩和され、安心です。

ナイルワークスの農業用ドローン

「より効率的に農業をしたい」「重労働から解放されたい」「人手不足で困っている」など、お困りの方も多いのではないでしょうか。このような課題を解決するためにおすすめなドローンが、ナイルワークスのドローンNile-JZシリーズです。国産の自動飛行ドローンだからこその特徴をご紹介します。

国産ドローン

ナイルワークスは日本の企業です。これまで、数々の農業現場で、高齢化や後継者不足に悩む農家の姿を目の当たりにしてきたからこそ、「農家の悩みを解決したい」という強い想いが、モノ作りの原点です。

Nile-JZシリーズは、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構/NARO)が事業実施主体である国際競争力強化技術開発プロジェクト「安全安心な農業用ハイスペックドローン及び利用技術の開発」を受託(2021年6月)したハイスペックドローン開発コンソーシアムの事業で開発された機体をベースにしています。

国内の農業現場で利用しやすいように設計し、迅速なカスタマーサポートも嬉しいポイントです。

自動で農薬・肥料を散布できる

Nile-JZシリーズはフルオート(自動飛行)に特化し、ひとりでも農薬・肥料を散布できることが魅力です。RTK-GNSSや複数センサーから算出される位置情報により、正確に、自動飛行します。バッテリー・タンク残量検知、障害物回避、異常時の退避まで自動なので、ストレスフリーな飛行を実現します。

農業経験・性別に関係なく、誰もが同じ精度で、散布のエキスパートになれます。

可変散布対応で環境にもやさしい

Nile-JZシリーズは、上位機種Nile-JZ Plusと標準機種Nile-JZの2種類があります。

Nile-JZ Plusは可変散布に対応し、作物の生育状態にあわせて、部分的に農薬・肥料を散布することができます。農薬・肥料の使用量低減に役立つとして、「みどり投資促進税制」の対象機械として初めて認定されたドローンです。環境負荷の小さい食料システムの確立に貢献し、環境にやさしいサステナブルな農業を実現します。

シンプルな均一な散布のみを希望する方は、Nile-JZがおすすめです。

Nile-JZ Plusの飛行の様子

ナイルワークスの農業用ドローン導入の流れ

Nile-JZシリーズを安全にご利用いただくために、講習会で知識・技術を習得することができます。

ナイルワークス独自の講習会・ライセンス取得

講習会は、3日間です。座学・実習を通して、体系的に知識・技術を学び、Nile-JZシリーズのライセンスを取得します。

  • 座学:
    航空法・農薬取締法・その他関連法令、Nile-JZシリーズの特徴、自動飛行の仕組み、安全に飛行させるための注意事項
  • 実習:
    基本操作・測量・運搬・洗浄・点検の実習、トラブル発生時の対応方法

各種申請

ドローンによる農薬散布は、人口が密集する地域の上空を飛行する場合があることや、航空法で禁止事項となっている「危険物の輸送」「物件の投下」などにあたるので、国土交通大臣への許可・承認の申請が必要です。

「面倒くさそう」と考える方も多いと思いますが、ナイルワークスの講習会で、各種申請についても丁寧にご説明するので、ご安心ください。詳しく知りたい方は、国土交通省のホームページを確認してください。無人航空機を屋外で飛行させるための手続き

出典:国土交通省
無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
無人航空機を屋外で飛行させるための手続きについて(令和6年4月)
https://www.mlit.go.jp/common/001579420.pdf

運用開始

Nile-JZシリーズ導入後に、お困りのことがある場合は、カスタマーサポートが、みなさまの農作業をサポートします。海外製品の場合、質問の回答に1週間もかかったり、故障修理に数ヶ月もかかってしまうこともあります。

しかし日本企業のナイルワークスだからこそ、迅速で手厚いサポートができるのが魅力です。また自動車のように、安全にご利用いただくため定期的なメンテナンスも必要なので、丁寧に年次点検も行っています。

農業用ドローンのデメリット

農業用ドローンのデメリットとして考えられることは、気になるお値段だと思います。ドローンを導入するにあたり、相応の費用がかかります。メンテナンスなどの維持費もかかります。

そのため補助金・助成金制度などを活用して、導入負担を少なくすることもできます。ナイルワークスでは 導入時に一人 ひとりの状況に寄り添い、導入のご提案もしていきます。


動力噴霧器(動噴)無人ヘリコプタードローン
導入コスト
安価

×
高額


補助金・助成金制度の利用で
負担を軽減

それでもドローン導入のハードルが高い場合、農薬散布を依頼する選択も視野にいれてもいいかもしれません。ナイルワークスでは、農作業マッチングサービス 「ブリッジブースト」を展開しているので、農薬散布を依頼したい方は、参考にしてみてください。

導入事例

Nile-JZシリーズを導入することで、劇的に農作業が改善された事例をご紹介します。

作業時間の短縮で、効率化

北海道滝川市の減農薬米生産者は、「楽できそうだから(ドローン散布を)やってみようかなと思ったし実際取り入れてみたら楽だった。1日半かかった作業が1日もかからなくなった」「家族経営ですので、わたしが他の仕事で手が離せない場合でも、奥さんがドローンを使って作業できるところがこれまでと全く違いますし、(作業の)時間短縮できたところが良かった」と作業効率化をはかっています。
詳細はこちら▶︎ 減農薬米生産者の未来を切り拓く

充実のカスタマーサポートで、安心のワンオペ

千葉県柏市で、約150年前から先祖代々田んぼを受け継ぐ若手農家。「色々なメーカーのドローンを比較検討した結果、ナイルワークスのドローンの導入を決めました。国産であることとワンオペ作業ができることが、決め手です。可変散布できることにも魅力を感じました。それに、何かあったときにすぐに解決してくれるので、カスタマーサービス面も安心です。」と、ひとりでの散布を実現しています。
詳細はこちら▶ 素材を活かした餅で美味しさ届ける

セット動噴のストレスから解放

宮城県仙台市の女性農家は、従来の農業スタイルを改善しました。「背の高いとうもろこしの穂に農薬をかける際に自分自身が農薬を全身で浴びてしまうことと、機材自体が重たいので作業している途中で腕が重くなり上部まで均一に散布できていないこと、そしてセット噴霧の場合、誰かとペアになって散布するので、スケジュール調整が大変でした。(Nile-JZ Plusは)実際、女性でも1人で扱える軽さと、軽バン(ミニバン)に積めること、なによりも自動飛行経路を作ってくれるので簡単なんです。」と語ります。
詳細はこちら▶ 受け継ぎたいものがここにあるから。 静かな想いが突き動かすこと。

新人女性も、作業品質を担保

岩手県北上市の大型農業生産法人では、農業未経験の若者を受け入れ、次世代農業人材育成に積極的に取り組んでいます。自動飛行ドローンの導入により、散布作業の品質を担保しています。新人女性は「(ドローンを使って防除作業をしていると)ひとりでできるんだね、すごいね!って、周りの農家さんから声をかけられますね。ドローンを飛ばした後に、実際に目に見えて生育の成果がわかるようになることが楽しいです。」とドローンを活用しています。
詳細はこちら▶ 大型農業生産法人でドローン導入 「食」を支えることの使命感と、達成した自信と誇り

自動飛行ドローンで、散布代行

福島県喜多方市で、農業を農薬・肥料の散布を請け負っている方々は、ナイルワークスの自動飛行ドローンで地元を支えています。「年間約200町の防除作業をしており、夏になると早朝から毎日作業しています。天候に左右されるのでその点が一番苦労しますが散布代行して、お客様からありがとうと言われるとやっぱり嬉しいですね」と笑顔で話します。
詳細はこちら▶ ドローン散布代行で地元を支えるNile-JZシリーズを導入している方々

農業用ドローンはナイルワークスまでご相談ください

農業用ドローンにご興味ある方は、まずはナイルワークスまでお気軽にお問い合わせください。

ナイルワークスのドローンは、人手不足や高齢化といった農業の課題に真摯に向き合い、開発された製品です。効率的で持続可能な農業を目指す方々にとって、最適な解決方法となるでしょう。

Nile-JZシリーズの主な特徴は以下の通りです。

  • 国産ドローンの信頼性
    • 日本の農業現場を熟知した企業による開発
    • 農林水産省「国際競争力強化技術開発プロジェクト(安全安心な農業用ハイスペックドローン及び利用技術の開発)」による成果を利用
    • 迅速な国内カスタマーサポート
  • フルオートで簡単操作
    • ひとりでも操作でき、ストレスフリーな散布
    • RTK-GNSSや複数センサーから算出された位置情報で、高精度な自動飛行
    • 農業経験や性別を問わず、使用可能
  • 環境に配慮した設計
    • Nile-JZ Plusは可変散布に対応
    • 「みどり投資促進税制」対象機械として、初めて認定されたドローン
    • サステナブルな農業の実現に貢献
  • 多様なニーズに対応
    • Nile-JZ Plus:上位機種として、可変散布にも対応
    • Nile-JZ:標準機種として、シンプルな均一散布

農業用ドローンの導入やその他の疑問点については、ぜひナイルワークスまでお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧にサポートいたします。

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